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ながら運転の認識、間違っていませんか? スマホだけでない、運転中の行為の危険性 筆者:高根 英幸

公共交通機関を使って移動するのは、時間が読めるのはメリット(それでも最近は遅延が珍しくありませんが)ですが、発車時刻に自分のスケジュールを合わせ、他人と乗り合う空間を利用するのは、このコロナ禍では特に気を使うものです。

クルマを運転して、移動するのは非常に快適な移動手段です。渋滞では思うように進めず、イライラすることもあるでしょうが、自分のペースで出発、走行して自分だけのパーソナルスペースを確実に確保できます。

しかし初心者であればクルマの運転は真剣に集中して行なうものですが、慣れてくると徐々に余裕が出来て、運転に対して気が緩んでしまう瞬間が増えていく傾向にあります。

スマホの画面を見たり、耳に当てての通話は、運転とは全く関係ないもので、集中力の低下や安全確認を疎かにしてしまう原因として非常に危険な行為です。

それ以外にも渋滞でのノリノロ走行中には漫画雑誌を読んでいたり、食事をしながら運転しているなど、信じられないようなドライバーを目にすることがあります。それらは運転を日常的にすることで、安全に対する意識が麻痺してしまうことの怖さを感じさせるものです。

ながら運転の罰則が強化されておよそ1年が経過していますが、便利さとこれまでの習慣故か、未だに運転中にスマートフォンを使用しているドライバーを見かけることは珍しくないのが現状です。

スマホを使用したり、ナビ画面を注視(2秒以上見続ける状態)することは道交法で禁止されています。しかし、それ以外の行為は明確に禁止されているものではありません。

そのため、スマホ画面やカーナビ画面の注視以外で走行中に検挙されることは、可能性としては少ないものです。けれども万が一交通事故を起こしてしまうと、走行のための操作以外の動作をしていることが分かれば、事故を起こした責任を追求されることは否めません。

以前であれば、周囲のドライバーが目撃して驚くくらいのことで済んでいたのかも知れません。しかし情報化社会の現在では、防犯カメラやNシステム、さらには周囲のクルマのドライブレコーダーや乗員のスマホなどで運転中の行為は記録されてしまうことが珍しくなくなっています。

少し前の話になりますが今年6月、秋田県の佐竹知事が愛車のスポーツカーを運転中に、中央分離帯にクルマを衝突させたことが報道されました。原因は運転中に鼻をかんだことで、進路が乱れたそうです。事故を起こしたことにより、知事はその後、スポーツカーから最新の運転支援システムが搭載されたクルマに買い替えられました。

そうして最新の安全装備を利用するのも事故を防ぐための対策ですが、そもそもの運転に対する姿勢を見直すことが根本的な解決策となります。

高速道路で運転中に鼻をかむことは視界を奪ったり、身体を緊張させて余計な力を入れてしまう恐れのある、危険な行為です。また鼻をかむという行動そのものではなく、運転に関係ない動作を運転中に行なうことが危険だということに気付く必要があるのです。

しかも知事の場合は、対面通行の高速道路上を走行している最中でのことでした。ご存知かも知れませんが、高速道路の片側1車線、対面交通の区間は死傷事故が多い区間として統計上も明らかになっています。

そこを走行中に生理現象とはいえ鼻をかんだことで進路が乱れ、中央分離帯(ワイヤーロープ)との衝突事故で済んだことは、不幸中の幸いと言えることだったのです。

73歳でスポーツカーを運転して楽しむというのは素敵な趣味だと言えるものですが、事故を機に運転をサポートしてくれるクルマに買い替えたという判断もまた賢明な判断だったと言えるでしょう。

クルマに慣れてくると、運転だけに集中することが難しくなってきます。人間の脳は常に効率を高めようとするため、刺激が少なくなってくると別の分野にも興味を示し始めるのです。それが運転中の油断となって、わき見や漫然運転、その他の運転外行為へと発展していってしまうと思われます。

鼻水や涙、くしゃみなど、我慢することが難しい、あるいは放っておくと危険な状態になることもあるでしょう。そうした事態に備えて、ティッシュペーパーを手の届きやすいところにする、また安全な場所で停車できるまで溢れる鼻水を拭う程度で我慢するといった、運転優先の姿勢を維持することが大事です。

どのようなクルマの使い方、選び方が良いのか迷っておられる方には、弊社が運転を判断した上で最適な選択のためのお手伝いも致します。どうぞお気軽にご相談下さい。

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