Column お役立ちコラム

暴走事故の被告の虚言
クルマは嘘をつきません! 筆者:高根 英幸

あの悲惨な交通事故から2年、ようやく裁判が始まった池袋の自動車暴走事故ですが、初公判で被告人は「クルマに異常があった」と自らの運転に過失がないとして無罪を主張しています。

裁判は話術も含めて印象を操作して、自分に有利なものとするのが定石です。そのため事故は自分の運転操作ミスではなく、クルマの異常によるものと主張することで事故の責任を軽減してもらう、と見る向きもあります。あるいは認知症の傾向があるように印象づけることで、正常な判断ができないとして責任能力を問う形にもっていこうとしているのではないでしょうか。

どちらにせよ、あの暴走事故ではクルマに責任はありません。供述が二転三転しているので、被告の説明に信憑性は薄いにせよ、「アクセルとブレーキを踏み間違えたかもしれない」と一時は話していたと、報じられています。

これについて、明確に運転操作の状態を検証できることを、皆さんはご存知でしょうか?
クルマの安全装置、エアバッグには、その展開を判断するための情報として、走行中のクルマの様々な状態がセンサーによって検知されて集められています。そしてエアバッグの展開を判断するような状況になったと判断すると、その前後のクルマの状況をエアバッグECU内のメモリに記録します。これをEDR(イベント・データ・レコーダー)と言い、専門の機器を接続することにより、その記録されたデータを取り出して解析することができるのです。

つまり、被告が運転していたクルマのEDRからデータを取り出せば、衝突時にドライバーはアクセルとブレーキのどちらのペダルを踏んでいたか、明白なのです。

ブレーキペダルを踏んでいても、エンジンECUの故障でエンジン回転が上昇して暴走してしまったのかもしれない。そう反論される可能性もあるでしょう。しかし、EDRにはエンジン回転やギアポジション、アクセルペダルの踏み込む量やブレーキの圧力まで記録されています。すべてのデータに整合性があれば、クルマが誤作動して暴走したということは有り得ないのです。

このようにドライブレコーダーによる外からの映像では判別できない状況も、車体を調べれば解析できるようになっていることを覚えておけば、万が一の交通事故の際、事故原因の追求にも役立つことになります。

また、加害者でも悲壮感を出すことで同情を買おうとしていたのか、事故現場の現場検証では両手で杖を突きながら不自由そうに歩き、初公判でも車椅子からの歩行でスロープを自力で上ることができないなど、歩行能力の低さを見せています。そんな状態で繊細なペダル操作などできるハズもなく、事故後にさらに足腰が弱ったとしても、事故当時にはかなり運転することが危険な状態だったことは、容易に想像できるのです。

「歩行が困難でもクルマの運転なら何とかなる」。こうした考え方がいかに危険であるかということを、この暴走事故は証明しています。クルマは、セニアカーや電動車椅子とは違い、操作を誤れば人を傷付けてしまう、最悪の場合は殺めてしまうものだからです。

「80代になってもクルマを運転するから、こんな暴走事故を起こしてしまうのだ」。ネット上ではそんな意見も多く、運転免許の定年制を望む声もあります。その気持ちも分からなくはありませんが、年齢制限で運転免許を取り上げてしまうのは乱暴な話です。例えば75歳を運転免許の定年としても、74歳でも運転がおぼつかないドライバーは存在するでしょうし、80歳でもしっかりと運転ができる方も存在します。

せめて自分だけは、人に迷惑をかけないようにしたい。そう思われる方も多いことでしょう。「後期高齢者になったら免許を返納しよう」と決めておくのも賢明な考えですが、それよりも積極的に運転し続けるためにできることを始めませんか?

実年齢に関係なく、運転年齢とでも言うべき、運転能力の維持を図るための様々なアイデアを弊社では用意しています。

「ドライビングフィットネス for Senior」は、そうしたドライバーのためのメニュー。言うなればそれは「運転のアンチエイジング」です。この自粛期間中に弊社はまったく新しい分野を開拓しました。

これからの高齢化社会に向けた、弊社のソリューション第一弾に、どうぞご期待下さい。

一覧に戻る