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運転中の大敵、それは集中力の低下です 筆者:高根 英幸

●運転中の大敵、それは集中力の低下です

運転を快適で安全に行なうために、気を付けなくてはいけないことは意外とたくさんあります。

大前提として運転中は運転に集中することが大事ですが、運転中の集中力を低下させる要因は色々あります。その一つが眠気です。疲労によって起こる眠気、睡眠不足によって起こる眠気など、眠気にも様々な原因があり、その解消法も原因によって変わってきます。

疲労は休憩を取ること、睡眠不足は仮眠を取ることで解消することができますが、それ以外にも眠気を誘うことがあるのをご存知でしょうか。それは車内の空気環境です。

喫煙者の方ならタバコを吸っている時だけはサイドウインドウを開けていることもあるでしょうが、大抵のクルマは走行中、サイドウインドウは閉め切っていますよね?

そしてエアコンを使って快適な温度に調整されていると思いますが、冷暖房の効きを強めたいために空調を内気循環モードにしたままにしていると、人間の呼吸によって二酸化炭素濃度が高まり、軽い酸欠状態になってしまうことがあるのです。

ちなみに葬儀社の方が霊柩車を運転して御遺体を運んでいる時には、車内にドライアイスの冷気が漂うため、二酸化炭素の濃度が上昇してしまうことがあります。ここまで極端ではありませんが、締め切った車内で内気循環の空調を使い続ければ確実に二酸化炭素の濃度が高まってしまうのです。

最近は建物の気密性が高まっていることもあって、住宅やビルなどでも二酸化炭素濃度の上昇が問題になっています。個人差もありますが、空気中の0.1%(1000ppm、自然環境のおよそ2.5倍)を超えると不快になり、それ以上では眠気や頭痛などの原因となるようです。

空間の二酸化炭素濃度をチェックできるテスターも販売されています。それを車内に常備する必要はありませんが、積極的に換気することを心がけることが安全な運転につながることを覚えておいて下さい。

エアコンのスイッチパネルには温度と風量の設定、フキダシ口を切り替えるスイッチのほかに、車内の空気を循環させる「内気循環」と外気を取り入れる「外気導入」を切り替えるスイッチが備わっています。写真のようなレバー式のスイッチでは内気と外気の割合を手動で調整可能です。

しかしながら眠くても、疲れていても「最近のクルマはぶつかりそうになったら、自動でブレーキをかけてくれるから心配ない」と思ってしまう人もいるようです。

確かに自動車メーカーはドライバーのミスをサポートするような運転支援システムを充実させていますが、あくまでも運転を支援するモノで、ドライバーが運転以外のことを走行中にしやすくするためのものではありません。

「ぶつからないクルマ」というキャッチコピーが素晴らし過ぎて、イメージが独り歩きしていますが、自動ブレーキが誇る機能のうち、前方の障害物を検知してブレーキをかけてくれる機能は「衝突被害軽減ブレーキ」と呼ばれています。つまり、衝突による被害を軽減することが目的であって、衝突を回避できるとは限らないのです。

実際、前走車や歩行者、自転車との速度差が大き過ぎたり、車間距離が十分でなければ、いくら自動ブレーキでも止まり切れずに衝突することになります。それ以前に衝突の危険性を察知できるかどうかは、センサーやシステムの性能によって作動のタイミングが変わってきます。もっと言えば衝突被害軽減ブレーキでも、様々な条件が重なることで作動しないことも珍しくありません。

エラーも起こり得る機械である安全装備に頼ってしまうのは、非常に危険な考えなのです。

私たちは運転中の動作からドライバー一人ひとりの性格を判断した上で、より安全で周囲の人々に安心感を与える運転となるアドバイスを行なっています。それによって一人でも多くの方が、業務中の運転で感じるストレスを減らすことができれば、というのが私たちの願いです

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